Hello, My Fighters! -IgA天疱瘡、難病とともに暮らす-

病気のライフスタイルをめちゃめちゃ考えるブログ

【第一部】天疱瘡の原因(食事・代替療法・ストレスその他)を探る:医学界の公式情報から

この記事をシェアする

f:id:josephinewellness:20190129223040j:plain

Designed by Freepik

 

 ここ最近、患者さんと真偽不明の医療情報について、すごく考えています。天疱瘡に関する日本語の情報はあまりにも少なく、何がどれだけ正しいのか、判断することは不可能です。どうすればそれを打開できるのか、ずっと考えていました。

 それで、ちょっと本気を出して、天疱瘡という病気についてまとめて書くことにしました。


 以下の疑問に、政府や研究機関の公式情報・論文・その他を用いて、当ブログの考えをまとめます。

  • 天疱瘡を引き起こす・治す・悪化させる食べ物はあるのか
  • 天疱瘡に代替療法は効果があるのか
  • 天疱瘡は、ストレスや紫外線など、外的要因によって引き起こされる・悪化するのか

 この3点は、患者さんが5000人いたら、5000人全員が知りたいんじゃないでしょうか。

 この問題について、日本の情報は極めて少なく、ほとんど回答してくれていません。日本の医学の人たち!待ってるよ!

 

 今回から【第1部】医学界の公式情報、【第2部】医学論文の事例、【第3部】患者さんたちの体験談、の3部構成でお送りします。

 では、一生懸命リサーチしていきたいと思います。

 

 

更新日:2019.1.29

はじめに

 医療情報には、主に3種類あると私は考えています。この記事では、3種類を明確に区別しながら、書いていくことにします。

1.医学界の公式情報

 政府や研究機関、学会の公式情報。医師はこういった公式情報に基づいて治療するため、信頼性は100%でなければならないし、患者の大半に当てはまる情報でなければならない。

2.医学論文の事例

 医学界の公式情報とは異なる稀な事例や、新しい考え方を発表する場。科学的な説得力が常に求められる。「査読論文」は学会の偉い人たちがOKを出したということで、極めて信頼性が高い情報。

www.hellomyfighters.com

 

3.患者さんの体験談

 まだデータが足りず、科学的に検証できないが、実は革新的な新事実が含まれていることもある。こういった新事実が、今後、医学論文になる可能性もある。

 ただし、不適切な実験、主観的な分析、無知により、全く科学的根拠のない情報に仕上がっているケースもあるので、細心の注意が必要。

www.hellomyfighters.com

 

1.医学界の公式情報:天疱瘡と食事

 「天疱瘡を引き起こす・治す・悪化させる食べ物はあるのか」。

 医学界の見解は、たった一言です。

 

「ないです(まだ)」

 

原因となる自己抗体の産生機序は不明である。(中略)

根治的治療法は未確立である。

引用元:難病情報センター | 天疱瘡(指定難病35)

 

 この回答は、食べ物どころか、「ストレスでも何でもかんでも、この世にある全てのことについて、天疱瘡の原因はわかりませんし、完全に治す方法もないです」という意味です。

 この言い方は、まだ「食べ物はやっぱり関係してるんじゃないの?どうなの?」と思わせぶりですが、欧米人はほんとに歯に衣着せない。

 2018年、世界21カ国93名の医師が、天疱瘡に関するコンセンサス(専門家集団の公式見解を「コンセンサス」といい、世界の医師が安心して利用できる超絶信頼性の高い情報とみなされる)に合意しました。その中ではもっとぶん殴るがごとく書いてくれています。

Information for patients and their families

(患者・その家族に対して情報提供すること)(中略)

Counseling on dietary restrictions not necessary due to insufficient evidence.

(食事療法の指導は、証拠が不十分なため、必要ない。)

出典元:https://www.researchgate.net/publication/323082763_Diagnosis_and_Management_of_Pemphigus_recommendations_by_an_International_Panel_of_Experts

 

 医者が「別にしなくていいです」と言っているというのは、なかなかグサッと来ます。ひとまず、こちらが食事療法に関する世界の医師の一般的な考え方だということだと思います。

 読者のみなさんの中でとてもズボラで、食事療法なんか細々したことやってられないなと思っている方(私です)。その考えは、医学的にも理にかなってます。

 もう少し、レアな事例についても勉強したい方は、第2部「医学論文の事例」までお待ち下さい。

 

2.医学界の公式情報:天疱瘡と代替療法

 第2の疑問です。「天疱瘡に効く代替療法はあるのか」。

 アメリカ遺伝・希少疾患情報センター(政府機関)による見解です。

(翻訳引用)

To date, no studies have shown that alternative, homeopathic, or any other non-traditional method has been successful in treating pemphigus. However, alternative therapies may be useful to help reduce drug side effects, once the disease is under control.

今まで、西洋薬に代わる治療、ホメオパシー、その他の手法で、天疱瘡の治療に成功した例はない。

しかし、西洋薬に代わる治療は、症状が落ち着いたあと、西洋薬の副作用を軽減するために役に立つことがある。

 

引用元:Pemphigus | Genetic and Rare Diseases Information Center (GARD) – an NCATS Program

 

 実はこれは若干嘘です。これに関しては、第2部「医学論文の事例」で紹介しますが、日本において、漢方の治療事例はバコバコ出てます。インドからは、アーユルベーダの報告があがっています。事例レベルでは存在してます。

 しかし、先程紹介した2018年の天疱瘡に関するコンセンサスには、こういった漢方やアーユルベーダの話は入っていません。まだちょっと医学界として「効果があります!」と大きな声で言える段階にはないのかもしれません。

 

 現段階で、漢方・自然療法・ハーブ類は、天疱瘡の治療法として国際的に認められていません(治療効果に対する統一見解がない)。

 漢方での治療事例がある日本ですら、治療ガイドライン等には漢方のカの字もないです。

 しかし文献にある通り、「西洋薬の副作用を軽減する」とは既に書かれています。この筋で、西洋薬と併用する方向性が、現在の医学的な見解であると思われます。

 

3.医学界の公式見解:天疱瘡とその他の要因(ストレス、紫外線など)

 最後の質問です。「天疱瘡は、ストレスや紫外線、その他の要因によって引き起こされる・悪化するのか」という問いです。

 これは、闘病中の日常生活をどうするか、というところに直接関わってくる話ですね。 

 ストレスや紫外線などに対する医学界の公式見解は、極めて少ないです。確かに複数のソースが、ストレスや紫外線が天疱瘡を悪化させることについて、書いています。

 例えばこれ。

 A variety of factors have been speculated to trigger or worsen pemphigus. Such factors include exposure to ultraviolent light, trauma to the skin, and possibly certain foods. Stress may also aggravate pemphigus. 

(多くの要因が、天疱瘡の原因ないし悪化の原因として推測されています。これらの要素は、紫外線、過去の外傷、そしてもしかすると、特定の食べ物です。ストレスも、天疱瘡を悪化させる可能性があります。)

 出典元:Pemphigus - NORD (National Organization for Rare Disorders)

 

 こちらの記事元は、政府機関や公的機関ではなく、全米稀少疾患団体(公的機関ではない)です。文章には、ストレスや紫外線に関する関連性を示す論文はついていませんでした。この記事は、信じていいのか迷います。

 もしかすると、この団体は患者を中心として運営している組織なので、患者からの報告(第3部で扱う)が強く反映されているのかもしれません。

 ストレスなどの要因に関しては、2018年現在、天疱瘡との関連性を分析する論文が数多く寄稿されています。恐らく、現段階では、「研究中」なのだと思います。

 例の、2018年の医学コンセンサスで、症状を悪化させる可能性があるものとして示されているのは、以下のものだけです。

 Information for patients and their families

(患者・その家族に対する情報提供すること)(中略)

Education about triggers such as drugs, operations, radiation and physical trauma

(薬、手術、放射線、大きな怪我などが、症状の原因となることに対して、教育すること)

出典元:https://www.researchgate.net/publication/323082763_Diagnosis_and_Management_of_Pemphigus_recommendations_by_an_International_Panel_of_Experts

 

 まとめると、ストレスなどその他諸々の要因については、今のところ天疱瘡との関連性は不明(またはない)と考えられているというのが、医学的に言える限界だと思います。

 しかしこの分野は研究が盛んなところでもあるので、いずれ何かがわかるかもしれません。

 既に判明している、薬、手術、放射線、大きな怪我については、医学的に信頼できる情報なので、十分に気をつけるべきです。

 

 以上となります。

 だいぶ長々と書いてしまいましたが、とりあえず、何となく天疱瘡にまつわる謎が、医学的にどのあたりまで言えてるのか(保守的に)というのは、ご理解いただけるでしょうか。

 言うまでもありませんが、私は医学の知識も経験もなく、ただ英語が読めるだけの人です。信憑性については、十分に気をつけてください。

 ソースについては、全て政府機関・公的機関・医学的コンセンサスを持ってきました。非常に信頼できる情報源ですので、よろしければ是非ごらんください。