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患者さんが情報発信するときに気をつけることチェックリスト

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みなさんこんにちは。

今日は、私の考えをダラダラと述べたいと思います。

 

今日のテーマは、患者さんが情報発信するときに気をつけること

 情報化社会において、大体の病気は、インターネットで情報が得られるようになりましたが、やはり「与えられる」情報が少なかったりすると、患者さん自らが情報を発信しなければならない局面があります。

 天疱瘡も含めて、様々な病気の患者さんが、ご自身の症状の経過や特性などを独自に研究され、発信されています。

 特に稀少な疾患の場合、患者さんからの発信はほぼ唯一の情報源となります。

 患者さんが一生懸命自分の病気の研究をして、発信するということは、とてもとても素晴らしいことです。

 患者さんが発信する正確で詳細な記録が、いずれ医学の限界を突破してくれるかもしれません。

 

ただ、残念ながら、情報の中には、研究目的や、患者さんへの情報提供目的としては、説得力に欠けているものがあるのが現状です。

 ほんの少しの言い回しだけで、情報の受け手は「これは嘘だ」と感じたり、「この人嫌い、話聞きたくない」と感じてしまうものです。

 せっかくの有用な情報なら、説得力のない情報発信はもったいない!

 患者さんからの情報発信の効果をアップし、より多くの方の役に立つためには、「メッセージを、明確に発信する」ことがとても重要です。

 ということで、「患者さんが情報発信するときに気を付けることチェックリスト」を、作ってみました。

 

チェックリストは何をするものなの?

 このチェックリストは、患者さんへの情報発信をより効果的にすることで、より多くの人に役に立ててもらうためのツールです。

 情報発信する患者さんは、チェックリストをみて、自分の情報発信が、ちゃんと相手に届く形式になっているかを確認できます。

 逆に、情報を受ける側の患者さんは、情報の信憑性、論理性、書いている方の本気度などを理解するために、チェックリストは役に立つと思います。

 チェックリストの作成にあたっては、自分が大学で学んだ「ケーススタディを説得力のある論文にする方法」などを想起しながら、作成しました。

 

チェック1 命を脅かすリスクについて、きちんと伝えているか

 病気関係の情報を発信する上では、なによりも重要な観点です。もしかしたら情報そのものよりも大事かもしれません笑

 自己免疫疾患は特に、ステロイド療法によって多くの命が救われています。例えば尋常性天疱瘡は、ステロイドが発見されるまで、致死率が95%(生存期間14ヶ月程度 注1)の病気でした。

 致死の病について情報発信をするということの責任を、どうか忘れないでいただきたいです。

 命に関わる情報を発信するときは、病状が悪化するかもしれないリスクや、医師への確認の有無を明確に発信すべきです。

 

その情報を信じたことで、病状が悪化する可能性について明記したか

その情報に含まれている治療法の量、方法を変えると、病状が悪化する可能性について明記したか

医師に治療法の安全性を確認したかどうか、明記したか

 

チェック2 患者さんを精神的に追い詰める情報となっていないか

 「治療法Aより、治療法Bの方が効果がある」という情報は、色々な伝え方ができます。

 非常にしばしば見られるのは、「治療法AよりもBの方が意識が高い/正しい」のように、個人の信条に踏み込んでくるケースや、「治療法Aが有名なのは、製薬会社の陰謀で、医師もグル」といった巨悪を匂わせるケースです。

 いずれも、治療法Aで治療効果を得ている人の行動を否定し、批判するものです。

 自己免疫疾患のように、患者さんごとに病状が異なる病気においては、人それぞれ、効果がある治療法も異なる可能性があります。個人の信条に基づく批判をするのは得策ではありません。

   特に、治療法Aが医学的に推奨されている方法の場合、悲惨な結果になります。

このような批判を受けた患者さんは、医師や医学に対する不信感を植え付けられ、科学から遠ざかってしまう可能性があります。治療法Aを受けないと死んでしまう病気なのに、「素敵じゃないから」という理由で病院に行かなくなってしまったら、大変なことです。

 

科学的根拠なく、特定の治療法やその治療法によって効果を感じている人の幸せ・健康を踏みにじる書き方をしていないか

情報の根拠がなく、発信者個人の好みや気持ちに基づいた押し付けになっていないか(「Aは怖い薬ですよね」など)

 

チェック3 分析方法をちゃんと示したか

 こういう書き方をすると小難しい感じになるのですが、つまり「どのように新しい発見をしたのか」を書いたほうがいいよ、ということです。

 どんなに素敵な情報でも、やり方はしっちゃかめっちゃか、主観をたっぷりと調合して導き出した情報であれば、誰も信じないでしょう。

 情報提供に主観が入っていませんよ、ということを明確に示すために、「どのように考えたのか」という部分は十分に書いた方がいいです。

 逆に、主観や個人の哲学なのであれば、「主観です」とか「哲学です」とか書いたほうがいいと思います。別に全てが科学的な根拠がなきゃいけないわけじゃないと思います。主観でもいいです。でも、主観を「科学的根拠です」と示すのは、嘘つきですよね。

 

どのくらいの期間、どのような方法でデータを収集したのか、明確に示したか

   ⇒例:毎日、食事を全て日記に書き出し、症状と照合した

知見の正しさを確かめるために、どんなことをしたか

   ⇒例:逆に、玉ねぎをたくさん食べてみて、症状が悪化するかを確かめた

情報の正しさを証明する論文などの情報はあるか、ないか

   ⇒ソースにアクセスができるか。ソースの信憑性はどうか。自分の主観的な話なのか。病理を説明できるのか。

既存の医学界の公式情報が間違っているのであれば、どこ(どの文献)が・なぜ間違っているのか。その根拠を科学的かつ客観的な統計、分析、実験結果で示しているか。

   ⇒個人の事例を紹介するだけなら、この項目は不要です。

    既存の医学に代わる全く新しい医学を提唱する場合、当然この項目は必須です。学会で有力視されている論文の分析手法の問題点、「なぜそのような勘違いが起こってしまったのか」をきちんと説明するのが、研究者としての基礎的なマナーです。「日本家屋では玄関で靴を脱ぐ」並に根本的なマナーです。

 

おわりに

 せっかくの情報発信ですから、どうせなら正確に!効果的に!的確に!書くことで、より伝わるのではないかと思います。

 日本の医療・患者コミュニティは、決して医療リテラシーが高いとは言えません。根拠を示さない発信者、ソースなしで信じ込む受け手、謎科学が伝播しても正しい情報を発信しようとしない医療界・・・

 この中で闘病する患者さんにとっては、さぞ混乱し、お辛いことと思います。

 患者さんそれぞれに少しでも病気を理解していただき、何が「どのくらい」正しいのかをみんなが理解できる情報発信を心がけていただくことで、少しでもこの混沌がサッパリしてくれるのではないか、一抹の希望をこめてこの記事を書きました。

 

 もちろん、当ブログでは、こちらの全てのチェックリストを常に合格した記事をお届けします。

 そして、とにかくどんな状況下であっても、

絶対にお医者さんに相談してね!!!

 

注1:尋常性天疱瘡は、ステロイド療法発見前には95%の致死率。ほとんどが14ヶ月以内に命を落とした。

参考論文:PK KAR, Med J Armed Forces India. 1998 Jul; 54(3): 243–246.

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