はじめに
10連休も終わり、みなさんいかがお過ごしでしょうか。そろそろ5月病が流行する時期なのかな?
適度にお休みしつつ、だらだら行きましょう!
LAST 2 WEEKS MAGAZINE
最近、instagramでは、難病患者さんの恋人たちの気持ちや、カップルの意思疎通の工夫なんかが数多く紹介されていました。それにはきっかけがあります。
「100%中100%」問題
アメリカの難病・慢性疾患コミュニティで、3月に大問題になった出来事があります。
アメリカには、「ドクター・フィル(Dr.Phill)」という番組があります。司会者であるお医者さん(ドクター・フィル)が、悩みを抱える一般人ゲストの話を聞き、アドバイスするようなバラエティ番組です。「徹子の部屋」を説教臭くしたみたいな感じでしょうか。
この番組に、難病を抱える男性とその彼女が出演しました。カップルの悩みは、「最近喧嘩しかしていない、疲れた」というもの。
男性は、フルタイムで介助が必要な状況ですが、ヘルパーさんはいません。彼女が24時間体制で、彼をケアしている状態。それを3年続けて、彼女は心身ともに疲れはててしまっているし、彼も必要なケアがあるのでイライラする。このような状況を打開するにはどうしたらいいのか、というヘビーな相談です。
これに対して、ドクター・フィルが出した結論は、こうです。
「彼女は、介護者になるのか、恋人になるのかを決めなければならない。両立しようとすれば、100%中100%上手くいかない。」
ドクター・フィルの発言は、噛み砕くと、「ちゃんと彼は彼女を恋人として大事に扱いなさい。ヘルパーさん相手みたいな雑な扱いじゃなくて。」という意味なのですが、この「100%中100%上手くいかない」という発言が、大炎上しました笑
障害や病気を抱える人たちと、その人を介助している恋人たちが、「#100outof100」のタグをつけて、SNSやブログで猛反発しました。100%上手くいかないわけではなく、上手くいっている例もあるんだと。この一連の炎上は、多くの人が、障害や病気を抱える人たちとの恋愛、役割分担について発信するきっかけになったのです。
そして炎上中に、ドクター・フィルは、「介護が必要な(恋人・配偶者の)関係は、100%中100%破綻する」と発言したことになってしまいました笑 意味変わってる笑
私も番組の動画をみたのですが、ドクター・フィルは、”この”カップルに対して、強めに説得を試みただけなんですよね。しかし障害や病気を抱える人たちの多様な生活に配慮するのを、すっかり忘れちゃっていたようです。アドバイス自体は正しかったんですけどね笑
今日は、「100%中100%」問題や、障害や病気を抱える人との恋愛についての投稿を紹介します。
Instagramから:@sitting_pretty
こちらの女性、Rebekahさんは、車椅子で生活しています。恋人との経験を、こう語っています。
「介護が必要な恋愛関係は、100%中100%破綻する」ードクター・フィル
ミカと私は、5年以上付き合っています。昨晩、どんどん長くなるストレッチの日課を終えて、眠りにつくとき、ミカが言いました。
「君とストレッチするのが好きなんだ。君を抱きしめられるし、ストレッチが君の体の役に立っていることを感じるよ。どれだけのカップルが、こんな経験できるだろう?」
私には、彼が言っている意味がわかりました。私たちのストレッチには、弱さ、優しさ、ちょっとしたユーモア、手で触れられるいたわりが閉じ込められています。
逆に、ミカを世話した経験もあります。彼が大腿骨を骨折したときです。私は、自分の愛を表現できる方法があることに感謝しました。彼の髪で遊んだり、彼が薬を飲み忘れないよう注意したり、彼がトイレに行くのを助けたり。
これらは、私たちが毎日やっていることの極端な例です。私たちは毎日、支え合い、与え合い、いたわり合っています。
そういったことの一部は、麻痺した足に関することで、一部は混乱した感情を紐解くことで、大半は、お互いの居場所を作ってあげることです。
今週、ドクター・フィルは、彼氏を介護する女性に対して、愚かで、無知で、気持ち悪いほど単純化されたアドバイスをしました。私は普段、ドクター・フィルに対してはあまり関心がありませんが、いつもこんな感じなのでしょうか?彼のような有名人が、障害と恋愛に関する有害な話を流布している時には、あえて発言したいと思います。
どんな恋愛関係も、難しいものです。しかし、一人一人が皆違っていて、障害はまた違う形で恋愛に影響を及ぼすということを差し置いても、これだけは言えます。
「長続きする恋愛には、必ず助けあいがある。」
世界中に(ドクター・フィルも含めて)お願いしたいことですが、障害を持っているということを、人間とは全く異なる遠い星の話として扱うのをやめてほしいです。
あなたにも必要な助けがあるし、私にも必要な助けがあり、私たちはみんな、誰かと関わり、力の限り愛すために全力を尽くしているだけなのですから。
車椅子の方とパートナーを見たとき、何を感じるでしょうか。多分、「パートナーは車椅子の方を助けているんだ」という考えが、まず最初によぎると思います。そして、それは外野から見える範囲だけ言えば、正しいのかもしれません。
しかし普通に恋愛していれば、そのパートナーもまた、車椅子の方から支えられ、助けられているはずなのです。私たちは、そんな当たり前のことを、「車椅子が強烈な印象だから」というだけの理由で、すっかり忘れてしまうことがあります。
車椅子の方とパートナーを見たとき、「一般的なカップルなので、私のやってる恋愛とそんなに変わんないのだ」と感じられること。もっとそれに近づいていかなきゃいけないと思いました。
Instagramより:@hi_healthy_hannah さんの投稿
こちらの投稿は、「100%中100%」とは関係ありませんが、同じように恋愛関係について語ったものです。
写真は、HannahさんとMarkさん。Hannahさんは、線維筋痛症、過剰運動症候群などと暮らしていらっしゃいます。
この投稿では、そんなHannahさんと暮らしているMarkさんが、パートナーの病気とどう向き合っているかを、説明していました。
こんにちは!僕の名前はMarkです。線維筋痛症の人の恋人である、僕の視点を書きたいと思います。
自分の気持ちを彼女に話せるようになるまでには、しばらく時間がかかりました。二人の関係に満足できていない時もありましたが、そういう時には罪悪感がありましたし、毎日が既に大変なHannahとは、それについて話し合うことができないと思っていました。
僕と同じ状況にある人に言いたいのは、あなたの気持ちを話すことは、非常に大切だということです。Hannahは、僕たちの関係に対して、常に満足している必要はないんだということを教えてくれました。別に悪いことでも何でもないし、それが普通なんです。そして、話し合いは、Hannahと僕の関係をより深いものにしていきました。
線維筋痛症の人を支えていると、毎日「痛い」という言葉を聞くことになり、治療する方法が存在しないという事実を受け入れるのはとても難しいことです。あなたにできることは、小さなことだけですが、それは苦しんでいる人にとっては、大きな意味を持つこともあります。洗濯、炊事、水筒にお湯を入れる・・・少しでも楽になるようにね!
僕はアクティブなので、線維筋痛症の人と過ごす上での問題は明らかです。僕たちは何でも一緒にできるわけではありません。
でも、僕たちは何とかやっています。一人でゴルフをしたり、サッカーを観たり、(行き過ぎかもしれないけど)友達と飲みに行ったりする時間は、結構楽しいです。
最後に、慢性的な痛みと暮らしている人たちに、この言葉を送ります。
1.僕たちは、あなたに対して怒っていない。
2.僕たちは、あなたにがっかりしていない。
3.僕たちは、あなたを足手まといだと思ってない。
4.僕たちは、あなたを愛したいから愛している。愛さなきゃいけないからじゃない。
僕は、Hannahから多くを学びました。彼女自身は、僕をがっかりさせていると思っているけど、そんなことはありません。彼女を誇りに思っています。
Markさんの話から伝わってくるのは、Markさんが「良い人」だったから上手くいったわけではないということです。もちろん悪人だったら上手くいかなかったと思いますけどね笑
Hannahさんも、Markさんも、お互いに一生懸命に考えたり、話し合ったりして、お互いの幸せを何とか実現しようとした結果、上手くいったんですね。愛する努力の結果なんです。
こちらの投稿からも、病気だろうが何だろうが、恋愛関係で重要なものは同じであることがわかります。言葉を尽くすこと。相手から多くを学ぶこと。相手から多くを受け取ること。より良い人間になるために、相手と共に努力すること。
多分、障害や病気が関わる恋愛関係は、悩みも多いと思います。そういう悩みと一緒に生きるためには、本人も相手も「人を愛する技術」がなければ成り立ちません。見た目に文句つけたりとか、心の傷を無視したりとか、自分の利益しか見てないとか、人を愛せない人では対処ができないと思います。
今回ご紹介したような、障害や病気を持つ方の恋愛についての投稿に、愛の本質まで辿り着いているものが多いのは、やはり「愛スキル」の高さによるものかなぁと思います。一つの叡智かもしれない。